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いきかたのカタチ

街的わが家〜アート・音楽・グルメ

江 弘毅

江 弘毅(編集者)
住まいと街の健全な「交通」が行われてこそ人がハッピーになる、
という街的生活者の住生活充実コラム。今日も「ごきげんなネタ」てんこ盛りで。

いきかたのカタチ

街的わが家〜アート・音楽・グルメ

第16回 旬について

 夏になると、食欲が落ちたりするせいか旬に敏感になってくる。
 というか、スーパーや商店街や市場の青果店で、スイカを見つけたりするといてもたってもいられない。「あ、スイカ発見」ということで、買い求めたりする。



 カラダが求めてしまうのである。

 これは寒い冬になると鍋料理を食べたくなるのとよく似ているが、食事や料理の内容よりも、食材そのものに「夏」を求めてしまうところが違う。

 ここ数日の食材をメモがわりに写真に撮ってみた。
 蛸、鰯(いわし)、鱚(きす)といった魚介類。







 ゴーヤ、キュウリ、スイカ。





 どれも素材そのものが夏だ。

 鱚は塩焼きにした。



 ゆで蛸はそのままわさび醤油でいただくのと薄く切ったキュウリと酢の物に。



 そのキュウリはといえば、何本か買ってきてもろきゅうにしたり、休日のランチとしてキュウリのサンドイッチとロゼワインを合わせたりする。



 キュウリのサンドイッチは、いつから料理のレパートリーになったかは忘れたが、とある洋酒のバーでご主人と先輩客に、「英国式のサンドイッチで、ロンドンのパブではよく出される」みたいなことを教えていただいたのを
「お、なんだかお洒落だなあ」「なるほどそのシンプルさは、寿司屋の胡瓜巻きに通じるものがある」
 とか思いながらつくってみた。

 始めから完全にウイスキーなどの洋酒やワインの酒肴としての位置づけであった。

 レシピを披露すると、
1)「キュウリはタテに4枚ぐらいに切ってそれを斜め切りにする。
2)塩を振って5〜6分、水にさらして薄い塩加減にする。
3)手でよく水分を絞って、ワインビネガー少々とその3倍ぐらいの量のマヨネーズ。白コショウをばらり。
4)サンドイッチ用のパンに挟む。パンは焼いてもおいしい。



 実にカンタン。これだけだ。
 
 で、これをよく酒のアテにとつくって食べていると、いつしか「これは夏の食べ物だ」と趣向が変わってきた。
「夏の旬の野菜=キュウリ」という認識になってきたのだ。

 居酒屋の「冷やしトマト」は年中あるけれど、夏になったら注文したくなるのも、やはり「旬の野菜」がことさらおいしいからだ。
 こういうアイテムはなんだか夏に多いような気がする。
 スイカやゴーヤは逆に「夏しか食べ(られ)ない野菜」だが、はじめの蛸にしてもキュウリやトマトにしても「年中食べられる食材」である。



 ここのところの「勘どころ」が、「旬の食材」にとって重要なのだ、と思う。
 よし、夏になったし、キュウリがおいしいから、蛸といっしょに買って帰って冷酒のアテにしよう。



 サンドイッチにしてよく冷やしたロゼワインと。いや、まずもろきゅう、もろみ味噌も忘れないように…。

 こうなれば、「旬の実感」が増えて食事(ほとんど酒類だが)がより一層楽しくなることうけあいだ。

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いきかたのカタチ

江 弘毅
編集者

1958年岸和田生まれの岸和田育ち。神戸大学農学部園芸農学科卒。京阪神エルマガジン社時代に雑誌『Meets Regional』の創刊に関わり、12年間編集長に。2006年4月より編集集団140B取締役編集責任者。著書に『岸和田だんじり祭 だんじり若頭日記』(晶文社)、『「街的」ということ』(講談社現代新書)、『ミーツへの道』(本の雑誌社)、『「うまいもん屋」からの大阪論』(NHK出版新書)、『飲み食い世界一の大阪』(ミシマ社)、『有次と庖丁』(新潮社)など。毎日新聞夕刊に「濃い味、うす味、街のあじ。」(毎月第4火曜)を連載。

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